夜中という時刻に兄ちゃんからの電話。
取らなくても携帯の発信者の表示だけでもう内容は聞かなくてもわかる。
違いは息があるかないかくらいだろう。
電話のコチラもアチラもそうしたいわけじゃなくても、
泣きながら会話をやりとりする。
私達兄妹には子供はいない。
だから少々ずっと子供のようでもあった。
母と兄と私。年老いた「親子」をいつまでもやっていた。
だから、
だから、
大声で泣いてもいいんだと思う。
その場にいないことに。
気づきが間に合わなかったことに。
夜中に何度も電話の行き来をした。
ずっとだと大変なのでラインも繋げていた。
きっと兄ちゃんはそこにいることで大変だったろう。
私はそこにいないことで辛かった。
もう母ちゃんは「おかえり」とは言ってくれない。